「イベント企画の基本構造」

岡星竜美著
出版:リベルタス・クレオ
発行:2010年10月
 定価:1,000円
 A5版96頁
※購入希望者は事務局へお申し込みください。

出版に当たって

 
イベントと一言で言っても、大規模な博覧会から小規模の催し物まであります。本書は、その中でとりわけ人々の生活に密着したテーマである地域の活性化を事例として採り上げ、イベント企画の基本構造が理解できるようにしたものです。
 
 イベントで地域の活性化に現在関わっている、これから関わりたい、また学んでみたい等、様々な立場の多くの方がいらっしゃることでしょう。どの立場の方でも参考となるよう、日本全国の地域活性化イベントの成功と思われる事例をできるだけ多くご紹介しつつ、実際のイベント企画書作成に活かせる、使える図解を多く掲載するように努めました。ぜひご活用いただきたいと思います。
 
 ひさしく「地方の時代」「地域の時代」と言われています。
地方を意味する英語のローカル(Local)という言葉の意味を、私達日本人は少し間違って使っているようです。日本では長らく中央集権型の国家体制が続いたためか、中央=センターに対しての地方=ローカルと理解していますが、アメリカ等の州に自治権のある国では、その地域固有のもの、つまり時間であればローカルタイムや法律はローカルルールという使い方をするように、本来は各地域独自のという意味です。ローカルは、センターに対する相対的な言葉ではありません。
 
 ローカル=地域独自の自立した施策があるところは、地域も元気で活気に溢れています。しかし、中央 例えば国や自治体からの支援を期待し、型通りの施策で助成金や補助金を求めるという、日本的な間違った”ローカル”体質の地域では、本当の意味での元気と活気は生まれていない気がします。
 
 「我こそはローカル(アメリカの個性ある州のように独自の地域を誇る)」を宣言し、地域独自の自立したユニークな施策を展開することで、地域ブランドは高まり、日本全国に知られ、ディスティネーション(行ってみたい目的地)として人々の記憶に残ります。つまり、地域競争力が高まるということです。
 
 この点について、イベントプロデュースの第一人者である平野繁臣会長(一般社団法人日本イベントプロデュース協会)は、23年前に出版された著書「イベント富国論」の中で、以下のように予言されていました。
 
「いまようやく訪れた『地域の時代』を迎えて、これからの地域社会は、好むと好まざるとにかかわらず、厳しい地域間競争の時代を迎えることになる。地域の時代とは即ち地域間競争の時代ということでもある。もうすでにそういう時代に入っているともいえるが、今後は一層その傾向が強まるであろう。こうした時代を迎えて、イベントは地域経済を活性化し、地域社会の連帯、協同の意識を育むなど地域おこしにとっての重要な戦略となるに至ったのである。」
 
 ローカル=独自の地域づくりに不可欠なものがイベントなのです。
今後皆様の取り組まれるイベントが、地域を日本を明るくすることを願ってやみません。
本書執筆の機会をいただき、ご指導いただきました、一般社団法人日本イベントプロデュース協会(JEPC)イベント総合研究所 小坂善治郎所長(東京富士大学教授。4年生大学として日本初のイベントプロデュースコースを新設)、赤羽政嗣副所長、さらにはイベント研究の諸先輩の方々に深く感謝申し上げます。

2010年10月 岡星 竜美

 
JEPCイベント総合研究所選書

「イベント学概論」

EVENT Knowledge Engineeringの核心
小坂 善治郎著
出版:リベルタス・クレオ
定価:1,200円  電子書籍:720円
A5版128頁

出版に当たって

 
 いままで、「イベント学」の概念をまとめながら発表しようとして、何回も躊躇して今日に至った。

 その理由は曖昧のままではイベントに携わる多くの人々に失礼が生まれてはならないと思ったからである。それには、私はイベントの啓蒙のために一生懸命に先頭を走ってきた自負があり、責任があると思っていたからである。

 さまざまなイベントに関する学問的らしき活動も多くなってきて、書き物も出されているが、それはそれで意味があることと思うが、果たして十分であろうかと思っていた。

2011年3月11日わが国に大災害が発生した。ハイ・クライシスの中で、イベントは当初さまざまなかたちで中止が始まった。ところが、すぐにイベントが復活した。イベントが私たちの生活の中に絶対的に必要であることが叫ばれたからである。

 イベントをいま正しく述べることが責務と心に強く響いた。

 多くの「イベント」がわが国で、毎日どこかで実施されるようになり、またマスコミ等で取りあげられ続けて30数年になる。始めのころは、「イベント」の概念も明解でないまま、また構造も解明されないままに、あっという間に広がりをみせた。その活用分野も企業活動から地域活動、また福祉分野活動と極めて多面的になっている。その規模は博覧会のような大きいものから、数人のグループ活動のような小さな日常的なものまで広がりがある。その結果イベントの経済の市場規模はサービス産業の中でも大きなウエイトを持つようになった。
 
 このような背景のもとで、さまざまな課題を解決すべく、1986年に「日本イベントプロデュース協会(JEPC)」が発足した。混迷した課題を解明するように次々と概念整理とその研究結果を発表した。特に注目すべきは、「イベントの定義」とイベントの企画・計画の基本要素「6W2H」を確定したことである。

 それから25年を経たいま、イベントを体系的にまとめることの意義があると認識した。

2011年11月 小坂善治郎

 

目次

 
はじめに 3
序章/ 5

第1章 イベントの意義と機能/ 6
  1.イベント学の背景「イベント時代の到来」 
  2.イベントの社会的意義 
  3.イベント時代と社会の特性 
  4.イベントは、なぜ「力」をもつか
  5.イベントとは 
  6.イベントを捉える視点
  7.3つの視点によるイベントを考える(分類)
  8.イベントは体感型情報を創出 
  9.イベントの定義 
  10.イベントとは、を考える諸視点

第2章 イベントとコミュニケーション/ 30
  1.イベントとコミュニケーション・メディア 
  2.イベントとパブリシティ戦略 
  3.イベントと情報の非対称性の解決

第3章 イベントとサービス /52
  1.サービスの特徴とイベント 
  2.サービスの産業分類 
  3.サービスの提供から演出(経験)
  4.イベントと脱日常性・感動性
第4章 イベントと文化 
  1.イベントと文化記号装置
  2.文化の解釈 
  3.イベント文化の構造(イベント工学へのアプローチ)

第5章 イベントづくりの基本構成 /79
  1.イベントの企画と計画 
  2.「6W2H」形成の経緯 
  3.イベント企画と計画の核心
  4.イベントのシナリオ・プログラム[時間と場の関係] 
  5.イベント企画と計画の関連機能

おわりに/118
引用・参考文献/ 120


 
JEPCイベント総合研究所

「イベント企画の基本原論」

「6W2H」誕生秘話
2009年6月発刊
発行:JEPCイベント総合研究所
A5版12頁

はじめに - JEPC知的創造資源


 この冊子は、JEPCイベント総合研究所が、 一般社団法人日本イベントプロデュース協会(JEPC)のさまざまな活動の中で、一つの知的創造活動(研究)から生み出された「JEPCの知的資産-6W2H」の素晴らしき卵の事実の概要をまとめたものです。
誰もが「コロンブスの卵」の話を存じておられるでしょう。
 
 「6W2H」は「JEPCのコロンブスの卵」のことで、イベント企画・計画の基本構成要素のことです。1986年にJEPCが設立されて、イベントやその周辺で活躍した当時としては精鋭のプロ集団がさまざまな検討と研究、時には大激論ののちにまとまったものです。
 いとも簡単に生まれたものとお思いでしょうが、決して楽に生まれたものではありません。それは、すでにマスコミ等の通用ワードであった「5W1H」から始まりました。そして、城義紀氏のJEPCイベントカレッジの第1回講義で「7W3H」が発表されました。そこから、さまざまな研究が生まれ、時には大激論があり、その結果「6W2H(8項目)」に決定しました。当然その過程で論じられた「5W2H」「6W1H」「7W2H」「7W3H」もJEPCの知的資産として重要なものです。

 このようにして「6W2H」がJEPCによって生み出されたことは事実であります。この事実だけはご承知ください。ですから、そこにはさまざまな秘話があります。秘話はまた改めてさまざまな機会を頂きお話ししましょう。そこに立ち合った者にしかその真実は理解できないものですから、ここで再確認するのです。思い出すと、よくも日々深夜まで(時には酒もあり)できたなあと、とても懐かしいものです。しかも素晴らしい知的資産が残りました。

平成21年6月11日
JEPCイベント総合研究所所長 小坂善治郎

 
 
JEPCイベント総合研究所選書

「イベント企画・計画の理論と実際」

大山 利栄著
小坂 善治郎著
出版:リベルタス・クレオ
定価:1,200円 電子書籍:720円
A5版128頁

監修に当たって

「イベント学」の確立のために、さまざまな研究を多くの方々の知恵を借りながら約30年もたっている。
 イベントを合理的な知識の体系にすることが「イベント学」を成立されるものと信念を持ってきた。
 大山利栄先生のことを知ったのは、大山先生が一部上場のイベント大手会社の幹部でばりばりと難しいイベントを見事に完成させていたときである。
 ウイルヘルム・ブントは「直接経営に基づいて考えるのが正しい学問である」と教えられていた。私は1966年に1年間にわたり財団法人日本生産性本部MCITコース(大学院課程と同等)にて、日本のトップ教授陣や欧米のトップ研究者から直接指導を受け、さらに数企業の中で宿泊現場実習(約120日)での実地教育を受けた。だから教育プログラムは、経験から生み出される普遍性や法則性を見つけ出すことが絶対の必須であると考えていた。「イベント学」は当然のこととして、この絶対的条件が必要と常々考えていた。
 その折、長い念願の中で、東京富士大学でイベントプロデュース学科がわが国で初めてスタートすることになった。そこで、すぐに大山先生の業績について高く評価してわが大学の指導者になって欲しいと願い現在に至っている。大山先生の研究業績はわれわれが願っている経験に基づいた質の高いものになっている。
 
 

小坂善治郎
JEPCイベント総合研究所所長
東京富士大学イベント社会工学研究所所長

 

目次

第1章 イベント企画・計画の概念 2

1.イベント概念の確認 2
2.何故イベントなのかの検証 3
  (1)イベントは手段であって、目的ではない 3
  (2)イベントに至るまでの経緯 5
3.イベントづくりの機能 6
  (1)イベントづくり4つの機能 7
4.イベントの構成「6W2H」 10
  (1)イベント企画の「6W2H」 10
  (2)イベント構造「6W2H」の工学的検証 12

第2章 イベント企画の理論と実際 15

1.イベント企画にあたって 15
  (1)イベント企画のポイント 15
  (2)イベント企画の発想・着眼 17
  (3)イベント企画の代表的な発想法 21
  (4)アイデアから企画に至るプロセス 26
  (5)イベントに求められる6つの効果 28
2.イベント企画の基本コンセプト 32
  (1)企画コンセプトとは 32
  (2)コンセプト(概念)と6W2H(概要) 33
3.イベント企画6W2Hの展開ステップ 36
  (1)第1ステップ/基本コンセプトの確定 36
  (2)第2ステップ/イベント企画6W2Hの展開 36
  (3)イベントの原点「天の岩戸神話」の事例検証 39
    (4)農業法人フェア6W2Hの展開事例 46
  (5)全国和紙人形展6W2Hの展開事例 49
4.観光立国戦略におけるイベント企画事例検証 53
   (1)観光立国戦略におけるイベント企画 53
  (2)食・食文化の開発を中核とした「くろいそ巻狩り祭り」の検証 57
  (3)佐渡市国際芸術祭「アース・セレブレーション」事例検証 68
  (4)ジャパン・エキスポから継承する住民参加イベントの検証 71
  (5)環境型イベントの検証 74

第3章 イベント計画の理論と実際 80

1.イベントの基本構想 80
  (1)基本構想の機能 80
  (2)基本構想の内容 81
2.基本計画・実施計画の意義と目的 83
  (1)基本計画の機能 83
  (2)実施・運営計画の機能 84
  (3)基本計画の枠組み 84
  (4)基本計画策定の基本的態度 89
  (5)基本計画策定の留意点 92
  (6)求められるプロデュース機能 99
3.基本計画・実施計画の事例研究 101
  (1)信州博覧会【快適別荘村】の計画・実施計画の事例検証 101
 


 
 
JEPCイベント総合研究所選書

「イベント演出の実際」

大山 利栄著
 
出版:リベルタス・クレオ
定価:1,200円 電子書籍:720円
A5版80頁

はじめに

2013年春、日本で初めて東京富士大学経営学部(東京都新宿区)にイベントを専門的に学べるイベントプロデュース学科が誕生した。
 これまで専門学校などではイベントを学べる学校は存在したが、日本の大学としては初めてである。
 では、世界の教育機関ではどうかというと展示会先進国のドイツやコンベンションの先進国であるアメリカはもちろん、お隣の韓国や中国でもイベント、コンベンションを専門に学べる学部、学科は存在する。そういった意味では日本は「イベントを教育する」といった部分では世界から若干遅れていたと言わざるを得ない。
 一言に「イベント」といっても、そのありようは多岐に渡り、それを取り巻く産業、業界はあまりに裾野が広い。そのためにそれらを取りまとめてカテゴライズすることそのものが難しい。しかし、確実に現代においてイベント関連産業は存在し、イベントを専業としている会社も多数存在する。その規模は他の産業に決して引けを取らないほどの産業規模が既に確立していると言っていいだろう。
 大学という教育の場においてイベントについて学ぶということは、決してイベント供給サービス産業に人材を送り出すことだけに絞られているわけではない。イベント関連産業はもちろんのこと、観光、スポーツ、音楽・芸能、地方公共団体や福祉関係といった様々な業界でイベント的な発想…企画力や構成力、そしてそれを実現するための制作力や手配力、実行力を身に付け、それを武器に社会で活躍してもらいたいとの意図があることをあえて記しておく。
本書はイベントの中でも特に「演出」というパートに限って、これまでイベントに携わっていない方、主に学生を対象としてわかりやすく解説していくことを目的としているが、少し難しい言葉や表現があったらそこはぜひともご容赦いただきたい。
 これを機にイベントの世界、イベントの演出に少しでも興味を持っていただき、普段の業務、生活の中でイベント的な考え方や実行力を活用していただき、活躍してもらえたら幸いである。

 

目次

序章 6 
 第1章 イベントとイベント演出 8 
   1.イベントとは 8
      (1)日本語としての「イベント」 8 
     (2)イベントの定義とイベント演出の定義 9 
     (3)興行とイベント 10 
   2.イベントにおける演出の役割 13
      (1)運営と演出 13
      (2)イベント形態ごとのイベント演出 15
      (3)演出企画 19
      (4)イベント演出の構成要素 22
  第2章 25 イベント演出におけるテクニカルパートの基礎 25 
   1.美術施工について 25
      (1)イベントと美術施工 25
      (2)美術施工の進め方 27
      (3)サブロクってなんだ 29 
      (4)図面 31 
     (5)美術・舞台用語 33
    2.音響について 37
      (1)音響とは 37 
     (2)音響用語 40
    3.照明について 42
      (1)イベント照明 42
      (2)光源色(光の3原色) 43
      (3)光の方向性 44
      (4)照明機材の名称 45 
   4.映像について 48
      (1)イベントにおける映像 48
      (2)ソフトとハード 50
      (3)スクリーンサイズ(画面サイズ)の考え方 53 
      (4)スクリーンサイズの種類 55
    5.特殊効果について 55
      (1)特殊効果の種類 56 
     (2)特殊効果の選択 57 
 第3章 イベント演出の実際 59 
   1.進行表と台本 59
      (1)演出プラン 59 
      (2)進行表 60
      (3)台本(進行台本) 62 
   2.リハーサル 64 
   3.キャスティング 66
      (1)出演者のキャスティング 66
      (2)スタッフィング 68 
   4.演出家と舞台監督、進行スタッフ 70
  第4章 イベント演出に関する法規制 72 
     (1)主に該当する法規関連 72
     (2)主な提出先ごとの申請が必要な内容と条件・期日 73